板橋区私立保育園園長会
会長 伊崎 守
教育基本法第10条では、「保護者は子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身につけさせる‥」と、生まれたこどもの教育責任は保護者にあると規定しています。
しかしながら著しく変化する社会情勢のなかで、保護者の多くは子育てに対して大変苦慮しているように私たちは感じています。その結果、朝食をとらないで登園する子、仕事が過密になりこどもとほとんど会話ができない保護者、集団保育が理解できず保育園の行事に参加しない保護者、こどもの生活より保護者の都合を優先させる保護者が多くなるなど、保育園でもこどもたちの成長や社会性、コミュニケーションなどに大きな影響を与えかねない状況が生まれているように思います。
保護者のなかには、保育園に預けておけば乳幼児の発達における基本的な生活習慣が身につくと錯覚している方々もいらっしゃいます。また増え続けるこどもの虐待、保護者の産後うつなど子育てをとりまく環境の変化は保育園に大きく関係しています。
私たちはこのような最近の子育て状況をなんとかしたいとの思いから、園長会としての行動計画である「子どもと社会の未来を育む認可保育園」を作成しました。
少子化で打ち出される様々な施策を拝見しますと、こどもの視点があまり見受けられないように思いますが、「こどもがいても働いていられる社会」よりも、「働いていてもこどもを健全に育てられる社会」こそが望ましいのではないでしょうか。
板橋区の私立保育園は、制度のない時代から社会が求めるさまざまな先駆的取り組みを行ってきました。少子高齢化が進む今、私立保育園に期待される役割はますます多様となり、重要であると考えています。私たちは、これまでの実績を生かしてこどもたちが健康でゆたかに育つよう、先を見据えた子育て支援をしていきます。
私たちのこうした考え方について、関係各機関、保育に携わるみなさまのご理解を賜りますようご提案申し上げます。
「こども」を中心に「保護者」「地域」「保育園」がそれぞれ役割を果たし協力し合って子育てを行う環境をめざします。
発行者:板橋区私立保育園園長会
会 長:伊崎 守
発行日:2007年6月1日